ISBN | 978-4-87571-885-7 |
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書籍コード | 885 |
判型 | A5判 上製 |
頁数 | 236ページ |
定価 | 3,630円(税込) |
刊行年 | 2021年5月31日 |
文学の衰退が叫ばれて久しく、モダニズム教養主義の意義を失い、一方的な外国文学の受容弊害と同時に、今日の機械文明による影響が衰退の遠因と近因である中、本書の独自性は、アメリカの詩人・作家たちが、日本の伝統文化、禅仏教文化に遭遇し、創作に異化作用を引き起こさせた日本人の精神に内在するユニークさへの共感性を、興味深く分析をした比較文学論にある。太平洋戦争中、幼少時代に父親がユダヤ人という理由で殺害された体験、日系米国人が強制収容所へ送られた民族的偏狭性、広島原爆投下を非難する知性、ベトナム戦争による壮絶な人生体験を経た様々なアメリカの詩人、作家たちが、日本の精神文化に触れ、それを創作に盛り込みアメリカ文学に新風を吹き込んだユニークさを知ることは、逆に、彼らの作品から文化と文学の交わりを学ぶ書となり、一読に値する一冊である。
〈目次〉
はしがき
1章 ジョン・グールド・フレッチャーの『日本の版画』から学ぶこと
2章 『雨月物語』(上田秋成)と『ナイン・ストーリーズ』(サリンジャー)
3章 ケルアック、スナイダー、ディキンスンのメッセージ
4章 フィリップ・ホエーランとロアルド・ホフマンの詩
5章 ホエーランの古都
6章 ホエーランの詩「禅心寺」と「偏った扱い」
7章 ホエーラン、スナイダー、ギンズバーグの友情
8章 ルシアン・ストライクと池本喬の禅文学
9章 ピーター・マシ―センの2作品『雪豹』と『九頭龍川』の比較研究
10章 ルース・オゼキの『あるときの物語』について
あとがき