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ウィリアム・ゴールディングの読者
宮原一成著

ゴールディング(1911–93)はノーベル文学賞受賞作家ながら、わが国ではその作品研究は不当と言いたくなるほど少ない。本書は、本邦で15年ぶり6冊目の研究書として、この不世出の小説家が残した重厚なテクストに誠実に正対することの意義を再確認すると同時に、〈読むこと〉〈読まれること〉に対してゴールディングが抱いていた問題意識のありようを、彼が作家生活を送った時代の文脈に置いて検討する。自作の読まれ方や読者の理解度、世評を極度に意識していた作家ゴールディングは、同時代のいわゆる受容美学や読者反応理論の趨勢を批判的に映し出す鏡となり得る。本書はその鏡と鏡像の両方をあわせて丹念に読み解く試みである。

ISBN 978-4-87571-089-9
判 型 A5判 並製
頁数 400ページ
定 価 3,240円(税込)
刊行年 2017年10月



目次
序 読ませる、読まれる、読まされる──再読するゴールディング
第一章 『蠅の王』における読者の拘束──〈むき出しの人〉を読ませるために
第二章 『後継者たち』に見る断絶と架け橋──読ませるための拘束と受け入れ
第三章 読者が捨てきれない/読者に捨てさせない──『ピンチャー・マーティン』における意味の標識
第四章 読み書きの時間──『自由落下』における書く行為の純粋持続と読む行為
第五章 読ませるゴールディングから読まれるゴールディングへ──転機とその後
第六章 『尖塔』における読み手の自負と偏見、そしてその教化
第七章 『ピラミッド』の非倫理的な読み手から学ぶ〈読むことの倫理〉
第八章 〈一〉を目指す〈二〉──『可視の闇』に見る複製と復元願望としての解釈行為
第九章 読み手の革命の貧弱さ──ジェイムズ・コリーの手紙から読む『通過儀礼』
第十章 白紙から読む『ペーパー・メン』──〈作者の死〉が死なせたもの
第十一章 「雪の平原」としてのエジプト──自らを読み直すゴールディング
第十二章 『海洋三部作』に見る〈信頼できる語り手〉と〈読んで書くことの魔性〉
第十三章 『蠅の王』とビルとビル・ゴールディング
結び 知られざる神〈読魔〉との遭遇体験を読者へ
あとがき
引用文献一覧
索引